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_高津美絵 コメント集

「誕生」

「誕生」
1989年
「イアルの園」個展 : 日経ICFイメージカードより


 ここでは 「魂の不死性」というテーマについて
特殊な死者が赴くと言われる「至福者の島」を想定し「イアル(葦)の園」という神話からイメージを引き出して 自分なりに飾り付けをしてみました。

また、過去から未来へ永遠に繰り広げられる生命の営みは 明日への種を握りしめるのも、砂の上に蒔いてしまうのも私達自身に架かっているのだという
ささやかなメッセージもあります。


「地の衣装」

「地の衣装」
1994年
新世代への視点‘94  カタログより「地の衣装」個展

もし、ふ たたび調和のとれた世界がおとずれることがあるとすれば、それをつくるのは新しい人ではなく、
人間不在という状態だ。
欲望は、幻想ではなく狂気の現実だ。


*今回のタイトルである「地の衣装」とは、
大地を装うものを意図したものであり、
地球上のあらゆる生命を示しています。


「ATOMIC-BONE ―摂氏4000度の生成」

「atmic-bone 摂氏4000度の生成」


2000年
「atmic-bone 摂氏4000度の生成」個展 プレス用

物質が持 つ速度にはそれぞれに違いがありますが、その中からひとつを取り出して、そのものに焦点をあてる時、当然、他の物はぼやけてしまいます。
この時、何を主役にして計るのかということが問題なのではなく、すべてを主役として見られないということが問題なのです。

そして、これらの中には 収縮し続け消えてしまうものもあれば、驚異的な速度で勢力を拡大させていくものもあります。

そして、このような混沌とした時間の中で 唯一確かなものは共有された記憶によって つくられる未来の可能性ではないでしょうか。
それを探すことは、私にとって、とても興味深いことです。


*atmic-bone は「原子(放射性)の骨」という造語です。
摂氏4000度は原爆の熱線の温度。
この熱線によって溶けて残った物質の残骸などの意味


「休息」

「休息」


2003年
「継続する意志―Vol.2」個展 カタログより

私達 が、不変の中の変化とか、生成と消滅との均衡を悟るのは、人間的意識の最も深い局面のひとつであるといえますが、「現代」という、大きな力によって、私達 は、ある一つの方向に収束され、無意識のサイクルを繰り返しているように思われます。

しかしながら、それぞれの営みの動力や思惑はひとりひとりの想像力や感受性によって救助され方向を変え、償われるはずではないでしょうか。

作品という単一な比喩的イメージの中に、私は「受け入れるべき営み」と「受け入れられない営み」という二つの矛盾した感情を持ち込んでしまいます。
そしてまた、このことは自分の中での大きなテーマであると言えます。


「閉じても消えない空」

「閉じても消えない空」


2005年
「熱線譜」個展 プレス用

  死や破壊といった時間の境目に起きる変化は、一瞬のできごとですが、これは、目にみえる現象上のことで、目に見えないものは、期限のない時間の中で漂い続 けます。

例えば、戦争や暴力によって破壊された街のような、目にみえるものは、美しく再生されますが、原爆などで発生した放射能のような、目に見えないものは、長 い年月 空気中に残り続けます。
また、人の心の傷なども、目に見えませんが、深く長く 人の心を触みます。
私はこのような 目に見えないものに とても恐ろしさを感じます。

過去を忘れる、あるいは 諦める事によってのみ、未来があるのだとしたらそれはとても残酷なことです。廃虚のあとに力強く自生する植物をみると、複雑な気 持ちになるのは私だけでしょうか。

はじまりと終わりの 渾沌としたこの世界で 生きるという連鎖を 美しいと感じることは 私にとって簡単なことではありません。

*「熱線」とは放射能線のこと


高津美絵 2008年「持ち帰られた秘密」

「持ち帰られた秘密」
2008年
 個展 プレス用

僕ら はいつも ふたつにひとつの選択を迫られる。
生か死か、男か女か、右か左か。
一瞬のまたたきのような生の中でも
背後から迫り来る恐怖に気づく者、気づかぬ者
そして めくるめくページの中で、今日も宴は始まる。


「天国の順番」 (next seat to the heaven - two men)

「天国の順番」
(next seat to the heaven - two men)



2010年
 個展 「天国の順番」 (Next seat to the heaven)

時 々、昔の戦争の記録映像をみる。
敵国の兵士によって目隠しされ
一列に 並べられた人達が
銃声とともに

まるでボウリングのピンが転がるように
順々に倒れていく。 

「待つ」という戦慄
これほどの恐怖があるのだろうか

ひとつずつ、送られていく命
いつの世も非情の繰り返し   

※英語のサブタイトルは直訳で
「天国までの次の席」


高津美絵 2012年「天国の順番(Next seat to the Heaven)-Origin」

天国の順番
(Next seat to the Heaven) - Origin
2012年
  グループ展 「絵画から」

ここ 数年「天国の順番(Next seat to the heaven)」というシリーズの絵を描いています。
直訳すると「天国までの次の席」という意味です。

いつもどうり、すれ違ったはずの者達は、
どこかしら欠けたまま はじかれて行くのだけれど、
それらをもう一度、ひとつひとつ見送るような気持ちで描いています。


高津美絵 2015年「flower wall」

「flower wall」
2015年
 個展 「Control place」

私達 は生きている間いつもなにかに守られている。
子宮という小さな部屋から生まれおちた私達は、
家や学校のような管理されたゲージの中で生かされて行く。

けれども、時にはネガティブなゲージもある。
例えば収容所や隔離施設、そして、なわばり争いという空しい殺戮も、なにかを守る為のエゴだったりする。
すべては私達が生きようとするチカラに他ならないのだけれど。

自由という不自由を欲しがる私達の、どこか あてこすりな情景を描いてみたいと思う。






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©MIE TAKATSU




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